錯体の色を考える”コバルト錯体”


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錯体の色は何で決まるか?

錯体の色は、主に遷移金属イオンの配位状態によって決まる。

遷移金属イオンは周りに配位子を持つことで錯体を形成する。

この配位子によって、遷移金属イオンの電子状態が変化し、光の吸収や放出が起こることで色が現れる。

具体的には、配位子の種類、配位子と遷移金属イオンの配位数、および、配位子と遷移金属イオンの間の結合の強さが重要な要素である。

これらの要素によって電子のエネルギー準位が変化し、可視光の一部が吸収されるか放出されるかが決まる。

その結果、錯体は特定の波長の光を吸収または放出するため、私たちが目にする色が現れる。

この現象は、化学や材料化学の分野で広く研究されている。

問題

[Co(NH3)6]2+,[Co(OH2)6]2+,[CoCl4]2-

はそれぞれ、ピンク、青色、黄色のどれかを示す。

電子配置や、配位子からどの錯体がどの色を示すか考える。

分光化学系列を考える

分光化学系列から、問題の3個の錯体のそれぞれの配位子の強さは次のようになる。

Cl4 < H2O < NH3

これを元に以降、考えていく。

[Co(NH3)6]2+

配位子が強配位子場配位子だから、低スピン八面体錯体を形成する。

電子配置はこのようになる。

[Co(NH3)6]2+の電子配置の図

LFSEは、

[Co(NH3)6]2+のLFSE

[Co(OH2)6]2+

配位子が弱配位子場配位子だから、高スピン八面体錯体を形成する。

電子配置はこのようになる。

[Co(OH2)6]2+の電子配置の図

LFSEは、

[Co(OH2)6]2+のLFSE

[CoCl4]2-

四面体錯体を形成する。

電子配置はこのようになる。

[CoCl4]2-の電子配置の図

LFSEは、

[CoCl4]2-のLFSE

色を決める

金属錯体の色はd軌道間の電子の遷移により決まる。

例えば、t2g→eg、e→t2などである。

問題の3つの錯体のうち、最も低いエネルギー遷移は[CoCl4]2-である。

これは、ΔT=(4/9)Δであり、Clが弱い配位子であるからだ。

よって、低エネルギーの赤色光を吸収し、青色になる。

[Co(NH3)6]2+,は、NH3が H2Oよりも強い配位子であるため、低スピン錯体となり、高いエネルギー遷移を示す。

よって、高エネルギーの紫色光を吸収し、黄色になる。

これらより、[Co(OH2)6]2+は青色光を吸収しピンク色になると考えられる。

以上。

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