アルケンのエポキシ化

エポキシ化

実験室スケールでアルケンをmークロロ過安息香酸のような過酸RCO3Hで処理すると、酸化が起こってエポキシドができる。

エポキシドは、三員環に酸素原子をもった環状エーテルということを知らなければならない。

以下に、例を示す。

アルケンを過酸で処理するとエポキシドを与える時の反応例

エポキシ化の反応機構

過酸は中間体を無くして、一段階機構で二つのCーO結合が二重結合の同じ面にできるようにアルケンに酸素分子を渡す。

渡される酸素はカルボニル基から一番遠い酸素原子である。

エポキシドができる時の酸素原子の選択性を示した図

エポキシドを合成する別の方法

エポキシドを合成するもう一つの方法として、アルケンへのHOーXの求電子付加で作られるハロヒドリンを利用するものがある。

つまり、ハロヒドリンを塩基で処理すると、HXが脱離してエポキシドが生成する。

エポキシドを合成するハロヒドリンを利用する方法を示した図

加水分解について

エポキシドは水による酸触媒開環反応を行って、グリコールとも呼ばれる1,2-ジアルコールができる。

これは、アルケンのエポキシ化ー加水分解の二段階反応の全体の結果は、ーOHが二つの二重結合炭素のおのおのに付加するヒドロキシ化であることを示している。

世界では毎年、1800万トン以上のエチレングリコールが、エチレンのエポキシ化とそれに続く加水分解によって製造され、主に自動車の不凍液に使われている。

エポキシドは水による酸触媒開環反応を行って、自オールを与えることを示す図

ヒドロキシ化を四酸化オスミウムで

ヒドロキシ化は、アルケンを四酸化オスミウムOsO4で処理することにより、中間体のエポキシドを経由することなしに直接行うことができる。

代わりに、OsO4がアルケンに付加して一段階で生成する環状オスミウム酸エステル中間体を経由して起こる。

続いて、環状オスミウム酸エステルは亜硫酸水素ナトリウムNaHSO3水溶液を用いて分解される。

アルケンにオスミウムで処理することにより中間体を経由することなくジオールができる図

しかし、OsO4は非常に高価で有毒であるから、より安全なNMOの存在下で反応が行われる。

NMO:N-methylmorpholine N-oxide

NMOの構造を示した図

また、OsO4を触媒量用いることにより反応が行われる。

四酸化オスミウムを触媒量利用したジオールの合成方

問題

どんな生成物が得られるか

cis-2-ブテンとm-クロロ過安息香酸との反応でどんな生成物が得られるか。

cis-2-ブテンとm-クロロ過安息香酸との反応

出発物を予測する

出発物予測問題1
出発物予測問題2
出発物予測問題3