超原子価とかいう学生を困らせる概念

超原子価ってなんなん?

無機化学を勉強していて、ルイス構造、VSEPRモデルを考えることが数多くある。

ルイス構造の描き方についてはこちら↓

VSEPRモデルについてはこちら↓

分子において、基本的には電子配置がオクテット則によって割り振られると習うが、問題を解くようになるとしばしば「超原子価」という単語を耳にする。

オクテット則ワイ!!

となった人は数知れず、、、

今回は、超原子価について簡単にまとめる。

要点

超原子価並びに、オクテット則の拡張を要する共鳴構造は、第3周期以下の元素で見られる。

すなわち、LiからNeまでの第2周期元素はオクテット則によく従うが、第3周期以降の元素は外れるということ。

例えば、PCl5の結合を考えてみよう。

P原子は原子原子価殻に10個の電子を持たなければならない。

P-Cl結合1本で、2個の電子を持つからだ。

PCl5の結合を表した図

これは、sp3d混成軌道を作ることを意味している。↓

sp3d混成軌道の図

同様に、SF6を考える。

F原子がそれぞれ中心のS原子と電子対で結合しているなら、S原子は周りに12個の電子を持たなければならない。

SF6の結合を表した図

これは、sp3d2混成軌道を作ることを意味している。

sP3d2混成軌道の図

つまり。

周りの電子が8個では済まない原子を少なくとも1個含む化合物を超原子価化合物とよぶ。

d軌道を持たないから

第2周期までの元素がオクテット則に従うのは、d軌道を持たないからだとされている。

言い換えると、第3周期以降はd軌道を持つために余分な電子を低エネルギーのd軌道に収容できるから、オクテット則の拡張を要するのだと考えられる。

もっと単純に考える

d軌道うんぬんを考えるより、もっとシンプルに考察する。

第2周期の元素は小さな原子であるため、その周りに4個以上の原子を詰め込むのは難しい。

幾何学的に考えた方がわかりやすい気がする。