基本
アルケンへのHX付加において、 Hはアルキル置換基がより少ないC原子につき、Xはアルキル置換基がより多いC原子につく。
実際の反応を見てみる
2ーメチルプロペンとHClとの反応で、2つの生成物が考えられるが、実際には片方しか生成されない。
つまり、単一の付加生成物を与える。
以下に、反応を示す。
この反応は、唯一の生成物として2ークロロー2ーメチルプロパンだけを与える。
位置特異的
二つの可能な付加の方向のうち一方だけが起こる場合、反応は位置特異的であるという。
反応例
多数の化学反応を調べた結果、ロシアの化学者Vladimir Marlovnikovは1869年にMarkovnikov則を提言した。
これから、いくつかの反応例を見ていく。
2ーメチルプロペン
二つの二重結炭素原子における置換の程度が同じであれば、付加生成物は混合物になる。
1ーメチルシクロヘキセン
同じように、置換の程度が同じであれば、付加生成物は混合物になる。
2ーペンテン
Markovnikov則の別な捉え方
上に示した各求電子付加反応では、カルボカチオンが中間体として含まれているので、こう言い換えられる。
別な表現
アルケンへのHXの付加において、中間体としてより多く置換されたカルボカチオンが、より少なく置換されたものに優先して生成する。
問題を解く
1ーエチルシクロペンテンとHClの反応の生成物を予測する
反応生成物を予測する問題では、まず出発物の官能基を調べる。
どんな種類の反応が起こりそうかを決めるためだ。
この問題では、アルケンがHClから求電子付加反応を受けることが予想できる。
求電子付加反応は、マルコフニコフ則に従うことを学んだから、 H+がアルキル基1個を持つ二重結合炭素に付加し、Cl-は二つのアルキル基を持つ二重結合炭素に付加することが考えられる。
よって答えは、
次にハロゲン化アルキルを合成するための出発物を予測せよ
生成物の官能基を見て、「この官能基を作るためには何をしたら良いか?」を考える。
この問題では、生成物は第三級塩化アルキルであり、アルケンとHClの反応で合成できる。
生成物中のーCl原子を含む炭素原子は、出発物中の二重結合炭素の一方でなければならない。
今回は、3つの可能性がある。
答えは、どれもマルコフニコフ則に従って目的物を与えるので、3種類全部である。
次の4つの反応の生成物を予測せよ
1
2
3
↑ H2Oの付加が起こる。
4
答え
1
2
3
4
まとめ
マルコフニコフ則は有機合成の基本的な反応法則の一つであるため、絶対に押さえておきたい。
以上。