導入
電子配置、不対電子の数、結晶場理論、結晶場分裂などから配位子場安定化エネルギー”LFSE"を求める。
[Co(NH3)6]3+
NH3は中性だから、八面体錯体中のコバルトイオンは+3に荷電。
NH3は分光化学系列の中間に位置するが、Co3+が3+電荷を持っているから、強い場である。
したがって、低スピン錯体である。
電子配置はこのようになる。
LFSEは、
[Fe(OH2)6]2+
八面体構造で、中性の H2Oを配位子として持つから、Fe2+。
これは、d6金属イオン。
H2Oは分光化学系列において、NH3よりも低く、金属イオンの電荷が2+のみだから弱い場の錯体。
よって、高スピン錯体である。
電子配置はこのようになり、不対電子を4個持つ。
LFSE は、
[Fe(CN)6]3-
八面体錯体で、負に荷電したCNーを6個配位子に含むから、鉄イオンは3+。
これはd6金属イオンである。
CN-は非常に強い配位子場配位子であるから、錯体は低スピン。
電子配置はこのようになり、1つの不対電子を持つ。
LFSEは、
[Cr(NH3)6]3+
6個の中性なNH3を配位子に持つ八面体錯体。
Cr3+であるから、d3金属イオン。
高スピンか低スピンかは、d4〜d7金属イオンで考えれば良い。
電子配置はこのようになる。
LFSE は、
[W(CO)6]
COは中性だからWはそのままの八面体錯体である。
Wはd6であり、COは非常に強い場の配位子であるから、低スピン錯体。
よって、電子配置はこのようになる。不対電子は持たない。
LFSEは、
四面体[FeCl4]2-
4個の負に荷電したClーイオンの配位子を持つ、四面体錯体。
Fe2+はd6金属イオン。
ΔTはΔ0よりもはるかに小さいため、すべての四面体錯体は高スピンになる。
金属イオン、配位子、金属ー配位子の距離が一定に保たれる場合、
ΔT= (4/9)Δ0
である。
電子配置はこのようになる。
LFSEは、
[Ni(CO)4]?
中性のCO配位子は錯体の中心金属がNi0であることを必要とする。
Ni0はd10金属原子。
幾何学的形状に関係なく、不対電子は存在しない。
また、LFSE=0。