共鳴構造を描く時のルール

共鳴構造をどうやって書くのか?

今回はそのルールについて解説する。

1 : 共鳴構造とは仮想

ルール1、「共鳴構造は仮想的なもので、実在しない。」

複数の共鳴構造を持つ分子が存在する。

しかし、真の構造は個々の形の重ね合わせであり、共鳴混成体である。

共鳴構造を持つから特殊な化学種というわけではなく、CO2などと何ら変わらないことを知っておこう!

2 : π電子だけが動く

ルール2「共鳴構造はπ電子(非結合電子)の位置だけが変わる」

別々の共有構造で、原子の位置や混成は変化しない。

それぞれの原子は正確に同じ場所に実在し、基本的な構造は変化しない。

π電子、つまり二重結合の位置が変化する。

このような矢印で共鳴構造の変化を表現するとき、矢印は原子の動きではなく電子の動きを示している。

3 : 共鳴構造が等価じゃなくていい

ルール3「個々の共鳴構造は、等価である必要がない」

アセトンのアニオン共鳴構造を考える。

アセトンアニオンは二つの共鳴構造を持つ。

π電子は二重結合になるか、炭素上の負電荷として存在している。

これら二つの共鳴構造が等価でなくても、この二つは全体の共鳴混成体に寄与している。

4 : オクテット則を満たさなければならない

ルール4「共鳴構造は通常の原子価の規則に従う」

共鳴構造は他の構造と同じで、第二周期以降の元素にはオクテット則が適用される。

オクテット則についてはこちら↓

5 : 共鳴混成体は安定

ルール5「共鳴混成体は共鳴構造それぞれよりも安定」

共鳴は安定化をもたらすということ。

一般的には、共鳴構造の数が多いほど安定となる。

なぜなら、電子が分子内のより広い範囲に分布でき、より多くの核に近づけるからだ。

最後に

これらの規則に従えば、共鳴構造の基本はマスターできる。

あとは、実際の共鳴構造を何個も書いてみれば習得できるだろう。

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