エタノールの沸点は 78.37℃ であり、揮発性が高いものの、加熱調理によって完全に飛ばすことは難しい。これは、共沸混合物の性質によるものである。エタノールの特性を理解することで、より安全かつ効果的な利用が可能となる。
エタノールの基本情報
エタノール(C₂H₅OH)の沸点は 78.37℃ であり、水(100℃)よりもはるかに低い。この特性により、エタノールは比較的容易に蒸発するため、揮発性の高い液体として知られている。アルコール飲料や消毒用アルコール、燃料としての利用など、幅広い用途がある。
エタノールの蒸発と料理への応用
料理においてエタノールを含む酒類(ワイン、ビール、蒸留酒など)を加えると、その揮発性の高さから「加熱すればアルコールが飛ぶ」と一般的に考えられている。確かに、調理中にエタノールは蒸発しやすいが、それが完全に消えるわけではない。
エタノールの蒸発に関する誤解
1992年にアメリカ農務省、アイダホ大学、ワシントン州立大学が行った研究では、調理方法によってアルコールがどれほど残るかを調査した。その結果は以下の通りである:
- 30分間煮込む → エタノールの 45~80%が残存
- 2時間煮込む → エタノールの 5%が残存
- 強火で一気に加熱 → 一定量のエタノールが残ることが判明
この結果から、長時間加熱しても完全にアルコールを除去するのは難しいことが分かる。これは、エタノールと水が「共沸混合物」を形成するためである。共沸混合物とは、特定の比率で混ざった状態では単独成分よりも沸点が下がる性質を持つもので、蒸発しても水とエタノールが一定割合で残り続けることになる。
共沸混合物とは何か?
エタノールと水の共沸混合物は 約95.6%のエタノールと4.4%の水 で構成され、沸点は 78.1℃ である。この温度は純エタノール(78.37℃)や水(100℃)のどちらよりも低い。そのため、蒸留によって完全な純エタノールを得ることは難しく、特別な蒸留方法(例えば、ベンゼンを加えるアジトロピック蒸留など)が必要になる。
エタノールの利用と安全性
エタノールの揮発性の高さは、消毒用アルコールや香水、燃料などの分野で活用されている。一方で、アルコールを含む食品や飲料は、加熱処理だけでは完全にアルコールを取り除けないため、飲酒を避けたい人(子供、妊婦、運転手など)は注意が必要である。
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