電子の非局在化による化学結合を解説!

非局在化を簡単に言うと

「なるべく多くの原子核に所属しようとする傾向」

だ!

この非局在化が化学結合にどのように影響を与えるかについて見ていきましょう。

非局在化電子の役割

1. 分子軌道理論と非局在化

分子軌道理論によると、分子内の原子軌道が結合性分子軌道や反結合性分子軌道に重なり、電子が非局在化します。

これにより、分子全体の安定性が増し、特定の原子間の結合が強化されます。

2. 共鳴構造と非局在化

ある分子は、共鳴構造をとることで電子が非局在化します。

例えば、ベンゼン分子(C6H6)では、6つの炭素原子が環状に結合し、その中でπ電子が非局在化しています。この共鳴によって、ベンゼンの化学的特性が大きく変わります。

非局在化による結合の種類

1. 共有結合

共有結合は、2つの原子がそれぞれの価電子を共有することによって形成されます。

電子が特定の原子間で非局在化することで、強固な結合が生じます。例えば、水(H2O)の分子では、酸素と水素が共有結合を形成しています。

例えば

水素原子から水素分子が形成される時のことを考えてみる。

初めは1つの原子核にのみ存在していたが、結合後は2つの原子核に所属し安定化する。

2. 配位結合

配位結合は、一方の原子が結合電子対を提供し、もう一方の原子がその電子対を受け取ることで形成される結合です。電子が供与体から受容体に非局在化することで、結合が安定化します。例として、アンモニウムイオン(NH4+)が挙げられます。

結合後は共有結合となり、他の結合と区別できなくなる。

3. 金属結合

金属結合は、金属原子の価電子が自由に移動できる「電子の海」によって形成されます。この電子の非局在化により、金属は高い導電性と延性を持ちます。例えば、銅(Cu)や鉄(Fe)のような金属はこの結合を持ちます。

金属元素の原子は、それらが持つ最外殻電子をすべての原子で共有する。

実は、金属結合と共有結合とは本質的には同じ結合だ!

結合の詳細なメカニズム

1. 共有結合の形成と特性

共有結合は、2つの原子がそれぞれ1つ以上の電子を共有し、安定な電子対を形成することで生じます。

共有結合の強さは、結合を形成する原子の電気陰性度の差や、共有される電子の数に依存します。

例えば、二酸化炭素(CO2)では、炭素と酸素が共有結合を通じて結びついています。

2. 配位結合の特性と例

配位結合は、供与体と受容体の間の電子の非局在化により安定化されます。

供与体は、非共有電子対を提供する原子や分子であり、受容体はその電子対を受け取る原子や分子です。

例えば、カルボニル基(CO)を含む化合物では、酸素が非共有電子対を供与して配位結合を形成します。

3. 金属結合の特性と用途

金属結合は、金属原子が規則正しく並んだ格子構造を形成し、その中を自由に移動する電子によって維持されます。

この自由電子の存在により、金属は電気をよく通し、また熱伝導性も高くなります。これが、金属が電線や調理器具などに広く使用される理由です。

化学結合の理解を深める練習問題

問題 1

共有結合を持つ分子を選び、その結合の性質を説明しなさい。

問題 2

配位結合を説明し、その具体例を挙げなさい。

問題 3

金属結合が持つ特性を2つ挙げ、それがどのように日常生活に役立っているかを説明しなさい。

問題 4

非局在化電子が分子の安定性に与える影響について説明しなさい。

問題 5

ベンゼン分子の構造と共鳴による電子の非局在化を図を用いて説明しなさい。

練習問題の解答と解説

解答 1

共有結合を持つ分子として水(H2O)を選びます。酸素原子が2つの水素原子と電子を共有し、安定な分子を形成します。

解答 2

配位結合の例として、アンモニウムイオン(NH4+)を挙げます。窒素原子が非共有電子対を持ち、それを水素イオン(H+)に提供して結合が形成されます。

解答 3

金属結合の特性として、電気伝導性と熱伝導性を挙げます。これにより、金属は電線や調理器具に利用されます。

解答 4

非局在化電子は、分子全体にわたって広がることで、エネルギーが低くなり、分子が安定化します。

解答 5

ベンゼン分子は6つの炭素原子が環状に結合し、その中のπ電子が非局在化しています。この共鳴構造により、ベンゼンの化学的特性が安定化します。

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