顔料分散機構:基礎から解説

顔料分散は塗料やインクなどの製品の性能を左右する重要なプロセスであり、その理解と適切な操作は製品の品質に直結する。

以下では、顔料分散の過程とその基本的な機構について、特に「ぬれ」の段階に焦点を当てて解説する。


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顔料分散の基本概念

顔料分散は、一般に以下の3つの単位過程で構成される。

  1. ぬれ
    乾いた顔料凝集体に対する液体(ビヒクル)の浸透。
  2. 機械的解砕
    凝集体間の結合を外部のエネルギーで分断。
  3. 分散安定化
    分散された粒子同士が再凝集しないよう、安定化を図る。

これらの過程がそれぞれ適切に満たされることで、顔料分散の効率が最大化され、製品の性能が向上する。


ぬれの役割とメカニズム

ぬれの重要性

「ぬれ」は、乾いた顔料粒子や凝集体の表面にビヒクルが均一に広がる過程である。この段階では、顔料粒子間にある空隙や粒子の表面に液体が浸透する必要がある。この浸透は後続の機械的解砕や分散安定化に直接影響を与えるため、適切なぬれを実現することが重要である。


ウォッシュバーンの式による浸透の理解

ぬれにおける浸透現象は、細孔内の液体流動を表すウォッシュバーンの式で定量化できる。この式は以下の通りである。

  • t:液体が浸透するのに必要な時間
  • k:細孔の形状に関する修正係数
  • r:細孔の半径
  • η:液体の粘度
  • R:表面張力
  • θ:接触角

この式に基づき、液体の粘度や表面張力、細孔径、接触角などが浸透速度に影響を与えることがわかる。特に、接触角θが小さいほどぬれ性が良く、浸透が効率的に進む。


補足解説

(ウォッシュバーンの式を示した図)では、細孔径や接触角の変化が浸透速度にどのように影響するかが示されている。細孔径が大きい場合、浸透速度は速くなるが、粒子が容易に再凝集しやすい。一方、細孔径が小さい場合、浸透は遅くなるが、後続の分散過程が安定化しやすい。

ウォッシュバーンの式を示した図はネットで検索してみてください。


実際の応用:顔料分散の改善ポイント

  1. ビヒクルの選定
    粘度や表面張力が適切なビヒクルを使用することで、ぬれの効率を最大化できる。
  2. 接触角の制御
    接触角を小さくするために、適切な界面活性剤を添加する。
  3. 温度管理
    温度が上昇すると液体粘度が低下し、浸透が促進される場合がある。

簡易な練習問題と解答

問題1

ウォッシュバーンの式において、接触角が小さくなるとぬれ性はどのように変化するか説明せよ。

解答
接触角が小さくなるほど、液体が固体表面を覆いやすくなるため、ぬれ性は向上する。


問題2

細孔径が2倍になると、液体の浸透時間はどのように変化するか。

解答
ウォッシュバーンの式より、浸透時間は細孔径の2乗に比例するため、細孔径が2倍になると浸透時間は4倍になる。


問題3

液体の粘度が高い場合、ぬれの効率を向上させるにはどうすればよいか。

解答
粘度を低下させるために温度を上げたり、粘度の低いビヒクルを選択することが有効である。


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