
はじめに
確率論や統計物理学の分野では、ランダムウォーク(酔歩、または酔っぱらいの歩み)モデルが基本的かつ重要な理論的枠組みとして広く知られている。
本稿では、一次元の酔歩に関する統計的解析を行い、確率分布関数の導出過程を詳細に記述する。
特に、スターリングの近似を導入することで、ガウス分布との関連を明らかにし、確率密度関数の正規化定数の求め方についても掘り下げていく。
一次元酔歩の基本設定と数式表現
歩数と位置の関係式
基本定義
ある粒子が一次元軸上をランダムに右または左に移動する酔歩問題を考える。歩幅を b とし、右方向に n+ 歩、左方向に n− 歩進むとき、合計歩数 n および位置 x は以下の関係式により定義される

この式より、n+, n−はそれぞれ次のように表される

経路数と確率の導出
経路数の組み合わせ表現
二項係数を用いた経路数
与えられた歩数で所定の位置 xxx に到達する経路数は、二項係数を用いて次のように表される

確率分布関数の初期形
移動確率と分布関数の導出
右または左に進む確率がともに 1/21/21/2 であることから、確率分布関数 w(x)w(x)w(x) は以下のように記述される

スターリングの近似とガウス分布への展開
近似導入による連続分布の導出
スターリング近似の適用
x≪nbx \ll nbx≪nb を仮定した上でスターリングの近似を適用すると、以下のように指数関数の形に近似できる

ここで CCC は正規化定数であるが、この時点では未定である。
正規化定数の決定
積分と正規化条件
確率密度の全体積=1の条件
確率分布であるため、全空間で積分すると1になる必要がある。nnn が十分大きい場合、有限区間の積分は無限区間の積分へと拡張され、以下のように変形される

これにより、次の式が得られる

ガウス積分の活用
標準的ガウス積分の公式
以下の既知の積分公式を用いる

これを式 (2A.4) に適用することで、定数 C は次のように求められる

最終的な確率分布関数の表現
ガウス型分布としての形式
確率分布の一般形
以上の結果を総合すると、一次元酔歩の確率分布関数 w(x)w(x)w(x) は以下のように明示的に表現される

これは標準的な正規分布(ガウス分布)の形式に一致しており、酔歩モデルにおいて位置 x の確率分布が時間の経過とともに中心極限定理に従って正規分布に収束することを示している。
おわりに
本稿では、一次元酔歩に関する統計的解析を通じて、確率分布関数の厳密な導出を行った。スターリングの近似を導入し、ガウス積分を適用することで、酔歩の確率分布が正規分布に漸近することを数学的に証明した。
