フランス電力市場が風力・太陽光発電により大幅に電力価格低減を実現!不確実性と間欠性が、電力グリッドや市場の運用に課題

はじめに

風力や太陽光エネルギーといった再生可能エネルギー技術は、電力セクターの温室効果ガス排出を削減するために重要です。

しかし、これらのエネルギー源の不確実性と間欠性が、電力グリッドや市場の運用に課題をもたらします。

この研究は、フランスの電力市場における風力と太陽光エネルギーの不確実性と間欠性が、電力価格に与える影響を分析しています。

再生可能エネルギーの不確実性と間欠性

風力や太陽光エネルギーは天候に依存しており、その発電量は時間ごとに変動します。

この変動性(間欠性)は、電力グリッドのバランスを保つために他の発電源の調整が必要となることを意味します。

また、天候予測が完全ではないため、実際の発電量が予測と異なる場合があります(不確実性)。これらの特性が電力市場にどのように影響を与えるかを理解することは重要です。

フランス電力市場における再生可能エネルギーの影響

フランスの電力市場は、周辺国との接続が良好であり、原子力発電が主要な発電源となっています。

これにより、再生可能エネルギーの変動に対する市場の反応が他の市場と異なる可能性があります。

価格への影響

研究の結果、平均的には再生可能エネルギーの発電量が増加すると、電力価格が低下することが示されました。

具体的には、風力発電が1 GWh増加すると、電力価格は平均で2.12ユーロ/MWh低下し、太陽光発電が1 GWh増加すると、3.18ユーロ/MWh低下します。

しかし、これらの価格効果は、再生可能エネルギーの間欠性と不確実性によって異なります。

間欠性と不確実性の影響

風力発電の間欠性や不確実性は、価格への影響が小さいか、統計的に有意ではない場合が多いのに対し、太陽光発電の間欠性は価格に大きな影響を与えます。

例えば、太陽光発電の間欠性が1 GWh増加すると、電力価格は平均で8.57ユーロ/MWh低下します。

他の発電源および貿易の調整

再生可能エネルギーの変動に対応するため、フランスの電力グリッドは周辺国との電力取引や国内の他の発電源(特に原子力発電)を調整します。

風力発電が1 GWh増加すると、0.47 GWh分の他の発電が減少し、太陽光発電が1 GWh増加すると、0.60 GWh分の他の発電が減少します。

また、電力需要が1 GWh増加すると、0.46 GWh分の他の発電が増加します。

結論

フランスの電力市場における再生可能エネルギーの間欠性と不確実性は、電力価格にユニークな影響を与えています。

これらの影響は、市場の特性や他の発電源の存在、国際的な電力取引によっても異なります。本研究は、再生可能エネルギーの導入が電力市場に及ぼす影響を理解するための重要な知見を提供します。

引用文献

  • Maurice K. Ekoue, Matt Woerman, and Cédric Clastres. "Intermittency and uncertainty in wind and solar energy: Impacts on the French electricity market." 2024.