パイナップル皮廃棄物から作られた細菌セルロースエアロゲルが染料吸着に大活躍!
パイナップルの皮を再利用:環境に優しい吸着剤の開発
パイナップル加工業界では大量の廃棄物が出ますが、その廃棄物を有効活用する新しい技術が登場しました。パイナップルの皮から得られる細菌セルロースを使用して、染料の吸着に優れたエアロゲルを作成する研究が進められています。ベトナムのホーチミン市工科大学の研究チームは、この廃棄物を利用して、環境に優しい吸着剤を開発しました。
パイナップルの皮から細菌セルロースエアロゲルへ
研究では、まずパイナップルの皮から抽出した液体を、細菌(Acetobacter xylinum)の発酵プロセスを通じて細菌セルロース繊維に変換しました。この細菌セルロースは、その後、凍結乾燥によって軽量のエアロゲルとなり、廃水処理における染料の吸着剤として使用されます。このエアロゲルは、特にメチレンブルーやマラカイトグリーン、ローダミンB、クリスタルバイオレットなどのカチオン性染料に対して高い吸着能力を示しました。
驚くべき吸着性能:カチオン性染料に対して優れた効果
この研究では、細菌セルロースエアロゲルが、メチレンブルーに対して28-49 mg/gの吸着能力を持つことが確認されました。また、アニオン性染料に対しては、コンゴーレッドを除いてはほとんど吸着しないことが分かりました。コンゴーレッドは、アニオン性染料でありながらも、アミン基を持つため、エアロゲルの表面のヒドロキシル基と強い相互作用を示し、101 mg/gという非常に高い吸着容量を持ちます。
持続可能な開発への貢献
この研究の大きな意義は、豊富な農業廃棄物を利用して、高効率で生分解性の吸着剤を簡単に作成できる点にあります。これにより、パイナップル皮廃棄物の経済価値を高めるとともに、環境への影響を軽減することが期待されます。
実験条件と吸着特性
実験では、メチレンブルーの吸着条件(温度、pH、初期染料濃度、時間、実験規模)およびエアロゲルの作成パラメータ(粉砕時間、細菌セルロース濃度)を詳細に検討しました。その結果、30℃、pH 6.5の条件で、メチレンブルーに対して29.7 mg/gという吸着容量が得られました。
今後の展望
この技術は、染料以外の有害物質の除去にも応用可能であり、廃水処理や環境保護において重要な役割を果たすことが期待されます。さらなる研究と開発により、より広範な用途での利用が進むことでしょう。
引用文献
この研究は、「Bacterial Cellulose Aerogels Derived from Pineapple Peel Waste for the Adsorption of Dyes」として、Ha Vu Le, Nghia Thi Dao, Ha Truc Bui, Phung Thi Kim Le, Kien Anh Le, An Thi Tuong Tran, Khoa Dang Nguyen, Hanh Huynh Mai Nguyen, Phuoc Hoang Hoによって発表されました(ACS Omega, 2023, 8, 33412−33425)。