単核種元素の種類

単核種元素は、科学技術において重要な役割を果たし、特に精密測定や標準物質としての利用価値が高い。

単核種元素とは何か

単核種元素とは、自然界に存在する元素のうち、安定した同位体が1種類しか存在しない元素を指す。すなわち、地球上で発見される19種類の元素は、陽子数が同じでも中性子数が異なる「同位体」が存在せず、1種類の核種（同位体）のみで構成されている。この特性により、原子質量が安定しており、科学のさまざまな分野で正確な測定が可能となる。

単核種元素が重要な理由

通常、自然界に存在する元素は、複数の同位体の混合物であり、そのため原子質量はそれぞれの同位体の存在比を考慮した平均値として求められる。しかし、単核種元素はこのような混合の影響を受けないため、以下のような利点がある。

精密な質量測定が可能
原子質量の計算において、単核種元素は混合比を考慮する必要がないため、より精密な測定が可能である。
基準物質としての利用
単核種元素は、計量標準や分析化学における基準物質として活用されることが多い。
安定した物性
物理的および化学的性質が安定しており、特定の用途に適した材料として利用される。

単核種元素のリスト

現在、単核種元素として認識されているのは以下の19種類である。

軽元素: ベリリウム (Be)、フッ素 (F)、ナトリウム (Na)、アルミニウム (Al)、リン (P)
遷移金属: スカンジウム (Sc)、マンガン (Mn)、コバルト (Co)
希少金属: ヒ素 (As)、イットリウム (Y)、ニオブ (Nb)、ロジウム (Rh)
ハロゲン・貴金属: ヨウ素 (I)、セシウム (Cs)、プラセオジム (Pr)、テルビウム (Tb)、ホルミウム (Ho)、ツリウム (Tm)、金 (Au)

ビスマスの例外と単核種元素の進化

かつては20種類の単核種元素が存在すると考えられており、その一つにビスマス (Bi) が含まれていた。しかし、その後の研究により、ビスマスは極めて長い半減期（約10¹⁹年）を持つ放射性元素であることが判明し、厳密には安定した単核種元素には含まれないとされた。この発見は、単核種元素の定義と分類の見直しに大きな影響を与えた。