![アルケンからハロヒドリンへの反応を説明する](https://i0.wp.com/entropy.jp/wp-content/uploads/2023/07/名称未設定.001.jpeg?fit=640%2C360&ssl=1)
はじめに
アルケンと次亜ハロゲン酸からハロヒドリンと呼ばれる1,2-ハロアルコールが生成する。
だが、ハロヒドリンの生成は、アルケンと次亜ハロゲン酸との直接の反応で起こるのではない。
水の存在下で、間接的に行われる。
![アルケンからハロヒドリンの生成過程を示した](https://i0.wp.com/entropy.jp/wp-content/uploads/2023/07/スクリーンショット-2023-07-14-16.29.25.png?resize=640%2C143&ssl=1)
ブロモヒドリンの生成
Br2がアルケンと反応する場合には、環状ブロモニウムイオン中間体がBr-と反応する。
この反応を別の試薬の存在下で行えば、中間体ブロモニウムイオンが加えた求核試薬により捕捉されて、別の生成物を与える方向に進ませることができる。
例えば、多量の水の存在下では求核試薬として水が中間体と反応し、ブロモヒドリンを与える。
以下に、その機構を示す。
![ブロモヒドリンの生成過程の反応機構を示した](https://i0.wp.com/entropy.jp/wp-content/uploads/2023/07/スクリーンショット-2023-07-14-16.29.28.png?resize=506%2C1024&ssl=1)
実際の活用
実際には、水に溶けるアルケンは少なく、上記の反応を簡単には行えない。
そこで、Br2の供給源に、NBS と呼ばれる試薬を用いる。
![NBSの構造を表した図](https://i0.wp.com/entropy.jp/wp-content/uploads/2023/07/スクリーンショット-2023-07-14-16.29.38.png?resize=344%2C372&ssl=1)
溶媒には、ジメチルスルホキシド水溶液がよく利用される。
NBSは取扱いが簡単で、危険性が低い。
臭素そのものを使うこともできるが、危険性が高いため、避けるべきである。
以下に反応例を示す。
![NBSを利用したアルケンの反応の例](https://i0.wp.com/entropy.jp/wp-content/uploads/2023/07/スクリーンショット-2023-07-14-16.29.34.png?resize=640%2C291&ssl=1)
芳香環は三つのC=C結合を持つが、この条件下では、反応しない。
芳香環は非常に安定であるからである。
問題を解いてみる
シクロペンテンとNBSおよび水との反応
生成物の立体化学を示す。
![シクロペンテンとNBSおよび水の反応式を立体化学を用いて説明した](https://i0.wp.com/entropy.jp/wp-content/uploads/2023/07/スクリーンショット-2023-07-14-16.29.44.png?resize=640%2C214&ssl=1)