はじめに
アルケンは、簡単な出発物(アルコール、ハロゲン化アルキル)から合成できる。
これさえ知っておけば、十分だと言える。
アルケンの反応といえば付加反応であるように、アルケンの合成といえば脱離反応と言える。
付加反応と脱離反応は多くの点で表裏の関係にある。
すなわち、付加反応はアルケンにHBrやH2Oが付加して、ハロゲン化アルキルやアルコールを与えるものであり、脱離反応はハロゲン化アルキルやアルコールがHBrやH2Oを失ってアルケンを与えるものである。
以下に簡単な図解を示す。
脱ハロゲン化水素
ハロゲン化アルキルからのHXの脱離は一般的な脱離反応である。
通常、ハロゲン化アルキルと水酸化カリウムのような強塩基との反応で起きる。
例えば、ブロモシクロヘキサンはエタノール溶液中でKOHで処理するとシクロヘキセンを与える。
脱水
アルコールを強酸で処理することにより、脱水するのも一般的だ。
例えば、1ーメチルシクロヘキサノールをテトラヒドロフラン(THF)中で硫酸と加温すると、水が脱離して1ーメチルシクロヘキセンができる。
THFとは
テトラヒドロフラン(THF)はよく使われる溶媒である。
問題を解いてみる
エタノール中2ーブロモー2ーメチルブタンをKOHで処理した時の生成物は?
脱離反応を利用する上で、生成物が混合物になってしまう例が多々ある。
今回、生成物として混合するだろう物質の構造は、これだ。