ヒドロホウ素化によるアルケンの水和

はじめに

マルコフニコフ型生成物を与えるオキシ水銀化ー脱水銀反応に加えて、逆マルコフニコフ型生成物を与える相補的な方法もある。

それが、ヒドロホウ素化だ。

ヒドロホウ素化とは

ヒドロホウ素化は、ボランBH3のB-H結合がアルケンに付加して有機ボラン中間体を与えることから始まる。

この有機ボラン中間体は塩基性過酸化水素による酸化でアルコールが生成する。

これが一つの例だ。

アルケンがヒドロホウ素化により有機ボラン中間体を経てからアルコールになる過程

ホウ素原子が原子価殻に電子を6個しか持っていないので、ボランはルイス酸として反応性が非常に高い。

THF溶液中ではオクテットを完成するために電子対を受け取り、安定な錯体を形成する。

反応性の高さから、次のような反応も起こる。

シクロヘキセンとボランが反応してシクロヘキサノールができる過程

アルケンの二重結合に対する水和が3回速やかに行われるのだ。

立体化学的観点から

ヒドロホウ素化における位置選択性は、トランス型であり、逆マルコフニコフ型である。

次にその反応例を示す。

アルケンのヒドロホウ素化の位置選択性を示した例

問題を解いてみる

水和反応の生成物を予測する

2ーメチルー2ーペンテンとの反応でどんな生成物が得られるか。

次のそれぞれの試薬について考える。

2ーメチルー2ーペンテンの水和で得られる生成物を予測

反応の生成物を予測するとき、位置選択性を思い出そう。

アルコールを合成する

次のアルコールを合成するにはどうしたら良いか。

出発物を予測する問題のアルコール

官能基に注目して、その官能基を調整するにはどうしたら良いかを考える。

今回、目的物は逆マルコフニコフ型の付加でしか得られないから、回答はこのようになる。

アルケンのヒドロホウ素化によりアルコールができる時の出発物を予測する図

生成物の構造を予測する

ヒドロホウ素化の例1
ヒドロホウ素化の例2

出発物を予測する

ヒドロホウ素化の出発物の例1
ヒドロホウ素化の出発物の例2
ヒドロホウ素化の出発物の例3


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