「6種類」モノマーと開始剤の組み合わせと化学構造式・生成する高分子

モノマーと開始剤の組み合わせに基づく化学構造式と高分子の繰り返し単位の構造式を示し、各重合反応の種類を選定する。


1. メタクリル酸メチル(Methyl Methacrylate) / 1-ブチルリチウム

モノマーの化学構造式

メタクリル酸メチル(MMA)の構造式

メタクリル酸メチルを重合すると以下の繰り返し単位を持つポリメチルメタクリレート(PMMA)が生成される

重合の種類

1-ブチルリチウムはアニオン開始剤であり、この重合はアニオン重合である。


2. ε-カプロラクタム(ε-Caprolactam) / ナトリウムエトキシド

モノマーの化学構造式

ε-カプロラクタムの構造式

(六員環のラクトム構造)

生成する高分子の繰り返し単位

ε-カプロラクタムは開環してポリアミド6(ナイロン6)の繰り返し単位となる

重合の種類

ナトリウムエトキシドにより開環重合が進行するため、この反応はアニオン開環重合である。


3. イソブテン(Isobutene) / 塩酸

モノマーの化学構造式

イソブテン(C4H8)の構造式

生成する高分子の繰り返し単位

イソブテンの重合により、以下の繰り返し単位を持つポリイソブチレンが生成される

重合の種類

塩酸を用いるとイソブテンのカチオン重合が進行するため、カチオン重合である。


4. エチレンオキシド(Ethylene Oxide) / 水酸化ナトリウム

モノマーの化学構造式

エチレンオキシド(C2H4O)の構造式

(3員環エポキシド構造)

生成する高分子の繰り返し単位

エチレンオキシドの重合によりポリエチレングリコール(PEG)の繰り返し単位が生成される

重合の種類

水酸化ナトリウムが開環反応を開始するため、アニオン開環重合である。


5. 酢酸ビニル(Vinyl Acetate) / 過酸化水素 + 塩化鉄(II)

モノマーの化学構造式

酢酸ビニル(C4H6O2)の構造式

生成する高分子の繰り返し単位

酢酸ビニルの重合によりポリ酢酸ビニル(PVA)の繰り返し単位が生成される

重合の種類

過酸化水素と塩化鉄(II)によりラジカル重合が進行するため、ラジカル重合である。


6. テトラヒドロフラン(Tetrahydrofuran, THF) / 硫酸

モノマーの化学構造式

テトラヒドロフラン(C4H8O)の構造式

(5員環エーテル構造)

生成する高分子の繰り返し単位

テトラヒドロフランの重合によりポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)の繰り返し単位が生成される

重合の種類

硫酸が開始剤となり、カチオン性の開環重合が進行するため、カチオン開環重合である。


まとめ

モノマー開始剤生成する高分子の繰り返し単位重合の種類
メタクリル酸メチル1-ブチルリチウム[-CH2-C(CH3)(COOCH3)-]nアニオン重合
ε-カプロラクタムナトリウムエトキシド[-NH-(CH2)5-CO-]nアニオン開環重合
イソブテン塩酸[-CH2-C(CH3)2-]nカチオン重合
エチレンオキシド水酸化ナトリウム[-CH2-CH2-O-]nアニオン開環重合
酢酸ビニル過酸化水素 + 塩化鉄(II)[-CH2-CH(OCOCH3)-]nラジカル重合
テトラヒドロフラン硫酸[-CH2-CH2-CH2-CH2-O-]nカチオン開環重合