
Sharpless不斉エポキシ化反応は、1980年代にK. Barry Sharplessにより発見され、特に光学活性なエポキシドの合成において広く応用されている不斉合成法である。
この反応は、特定のキラルリガンド(L(+)-酒石酸ジエチル)と触媒(チタン(I)テトライソプロポキシド)、および酸化剤(TBHP: tert-ブチルヒドロペルオキシド)を使用し、アルケンを不斉的にエポキシ化するものである。
本記事では、反応手順、必要な試薬の計量および注意点について詳述する。
反応手順

使用する試薬と溶媒
- 活性化モレキュラーシーブス4A: 1.80 g(ゲラニオールの15~20wt%)
- ジクロロメタン: 溶媒として使用、100 mL
- L(+)-酒石酸ジエチル: キラルリガンド、1.00 g(4.8 mmol)
- チタン(I)テトライソプロポキシド: 触媒、0.91 g(3.2 mmol)
- TBHP(tert-ブチルヒドロペルオキシド): 酸化剤、19.4 mL(97 mmol、5.0 Mのジクロロメタン溶液)
- ゲラニオール: 反応基質、10.0 g(65 mmol)
- 水: 20 mL
- 30%水酸化ナトリウム水溶液: 4.5 mL(食塩飽和)
実験手順
1. モレキュラーシーブスの懸濁と冷却
まず、モレキュラーシーブス4Aをジクロロメタン(100 mL)に懸濁させ、溶液全体を-10°Cに冷却する。モレキュラーシーブスは反応中の水分を吸収することで、触媒の活性を維持し、望ましい反応を促進する役割を果たす。
2. キラルリガンドと触媒、酸化剤の添加
次に、L(+)-酒石酸ジエチル(1.00 g、4.8 mmol)、チタン(I)テトライソプロポキシド(0.91 g、3.2 mmol)、TBHP(19.4 mL、97 mmol)を順に加え、反応溶液をよく混合する。この混合操作は10分間行い、反応系全体に均一に分散させる。
3. 反応温度の調整とゲラニオールの添加
反応溶液をさらに-20°Cに冷却し、ジクロロメタン溶液(10 mL)に溶解した蒸留ゲラニオール(10.0 g、65 mmol)を15分かけて滴下する。この低温での滴下は、副反応を抑制し、高い選択性でエポキシ化を進行させるために重要である。
4. 反応の攪拌と温度の管理
ゲラニオールの添加後、反応溶液を-15°Cから-20°Cの範囲で45分間攪拌する。エポキシ化反応はこの過程で進行するため、反応温度の管理が収率と光学純度に直接影響を与える。反応後、溶液を0°Cまで昇温し、さらに5分間攪拌を続ける。
5. 反応の停止
反応を停止するため、水(20 mL)と食塩で飽和させた30%水酸化ナトリウム水溶液(4.5 mL)を順に加える。この操作により、過剰な酸化剤を中和し、反応を確実に停止させる。
6. 抽出と乾燥
10分間激しく攪拌し、ジクロロメタン層と水層を分離する。水相をさらにジクロロメタンで抽出し、得られた有機相を一緒にして、無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥剤を除去後、溶媒を減圧で留去する。
7. エポキシドの精製
得られた粗生成物はターゲルロールを用いて減圧蒸留(沸点100°C/0.1 mmHg)し、無色の液体エポキシドを収集する。このエポキシドは収量10.3 g、収率91%で得られる。
試薬の詳細と役割
L(+)-酒石酸ジエチル
L(+)-酒石酸ジエチルは、この不斉エポキシ化反応においてキラルリガンドとして働く。チタン(I)テトライソプロポキシドと協力して、不斉センターを形成し、反応物に対する立体選択的なアプローチを制御する。
チタン(I)テトライソプロポキシド
チタン(I)テトライソプロポキシドは触媒として機能し、酸化剤であるTBHPと反応してエポキシ化を進行させる役割を果たす。チタンの酸化状態と配位子構造は、最終生成物の立体選択性に影響を与えるため、重要である。
TBHP(tert-ブチルヒドロペルオキシド)
TBHPはエポキシ化に必要な酸化剤であり、アルケンを酸化することでエポキシドを生成する。溶液中での反応性が高く、選択的にアルケンを酸化できることから、この反応に適している。
注意点と成功のポイント
- 低温管理: 反応温度が-15°Cから-20°Cの間に維持されることが、高い収率と光学純度のために重要である。特に、TBHPの滴下後に温度が上昇しないように注意する。
- 酸化剤の過剰添加防止: 酸化剤としてTBHPを過剰に使用すると、エポキシ化以外の副反応が発生する可能性があるため、正確な計量が必要である。
- 抽出と乾燥の徹底: 水層を十分に抽出し、無水硫酸マグネシウムで完全に乾燥させることで、反応生成物の純度を高めることができる。
- 減圧蒸留の操作: エポキシドは沸点が低いため、減圧蒸留を行うことで効果的に精製する。適切な温度管理が求められる。
まとめ
Sharpless不斉エポキシ化は、光学純度の高いエポキシドを効率的に合成できる反応である。
特に、キラルリガンドとチタン触媒の組み合わせにより、立体選択的なエポキシ化が可能となり、多くの合成化学に応用されている。本手順で得られたエポキシドの収率は91%と非常に高く、選択的なエポキシ化が成功していることがわかる。
練習問題
- Sharpless不斉エポキシ化反応におけるキラルリガンドの役割は何か?
- チタン(I)テトライソプロポキシドの機能と反応中での役割を説明せよ。
- 反応温度が-10°Cではなく、室温で進行した場合に予想される副反応は何か?
- TBHPの代わりに過酸化水素を酸化剤として使用することは可能か?
- この不斉エポキシ化反応を用いることによって得られるエポキシドの立体選択性は、どのようにして確認するか?
解答と解説
- 解答: キラルリガンドはチタン触媒と結合し、不斉エポキシ化において生成物の立体選択性を誘導する。
- 解答: チタン(I)テトライソプロポキシドは触媒として作用し、エポキシ化反応を促進する。
- 解答: 室温では、酸化反応が急速に進行し、立体選択性が低下する可能性がある。
- 解答: 過酸化水素はTBHPに比べて選択性が低いため、望ましい不斉エポキシ化には適さない。
- 解答: 立体選択性はNMRやHPLCなどで確認することができる。

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