
放射能や放射線の基本単位を理解することで、放射線の影響を正しく認識することができる。

放射能の基本単位「キュリー(Ci)」とは?
放射能の強さを示す単位の一つに**キュリー(Ci)**がある。この単位は、1秒間に3.7×10¹⁰個の原子核崩壊を起こす物質の量を基準としている。
つまり、1gのラジウム226(Ra-226)は、1秒間に3.7×10¹⁰個の原子が崩壊することを意味する。この数値は、ラジウムの放射能が非常に高いことを示している。
放射能の測定単位:キュリーからベクレルへ
キュリーは従来の放射能測定単位として使用されていたが、国際単位系(SI単位)では**ベクレル(Bq)**が標準になっている。
ベクレルの定義は、1秒間に1回の放射性崩壊を起こす量である。したがって、1キュリー(Ci)は、
1Ci = 3.7×10¹⁰ Bq
という換算が成り立つ。
放射線量と人体への影響
放射線が人体に与える影響を測るために、放射線の吸収量を示す単位がある。それが以下の単位である。
① 吸収線量(rad → Gy)
放射線が物質に与えるエネルギーの量を示す単位。
- ラド(rad): 1 rad = 0.01 J/kg
- グレイ(Gy): 1 Gy = 1 J/kg
- 100 rad = 1 Gy
② 生物影響を考慮した単位(rem → Sv)
放射線の種類による人体への影響を考慮した単位。
- レム(rem): 生物影響を考慮した単位。
- シーベルト(Sv): 1 Sv = 100 rem
放射線の種類と人体への影響
放射線には様々な種類があり、それぞれ人体への影響が異なる。主な種類として以下が挙げられる。
- アルファ線(α線): ヘリウム原子核(2個の陽子+2個の中性子)で構成。透過力は弱いが、体内に入ると大きな影響を与える。
- ベータ線(β線): 高速電子または陽電子。アルファ線より透過力が高い。
- ガンマ線(γ線): 電磁波の一種で、透過力が極めて高く、鉛などの厚い遮蔽が必要。
- 中性子線: 原子核から放出される中性子。強い生物学的影響を持つ。
放射線の一般的な人体への影響
放射線が人体に与える影響は、**線量の大きさ(mSv単位)**によって変わる。
放射線量(mSv) | 影響 |
---|---|
1~10 mSv | 医療被ばく(X線撮影など) |
100 mSv | ガン発生リスクが増加 |
1000 mSv(1 Sv) | 急性放射線障害のリスク |
5000 mSv(5 Sv) | ほぼ致死量 |
放射能と環境:天然放射線と人工放射線
画像のグラフによると、一般的な環境で人が浴びる放射線は、天然由来のものが大半を占める。
- 大地放射線(48%):土壌や岩石に含まれる放射性物質からの放射線。
- 宇宙放射線(14%):宇宙空間から飛来する高エネルギー放射線。
- 食物(8%):カリウム40などの自然放射性物質を含む食品からの放射線。
- 医療放射線(11%):X線検査やCTスキャンなどの医療行為で受ける放射線。
- 人工放射線(0.04%):原子力施設や核実験などからの放射線。
まとめ
1gのラジウム226が1秒間に崩壊する原子の数は、3.7×10¹⁰個であり、これが放射能の基本単位**キュリー(Ci)の定義となっている。
現在ではベクレル(Bq)**が標準的な単位として使用され、1Ci = 3.7×10¹⁰ Bqに相当する。放射線の影響は、吸収線量(Gy)、生物学的影響を考慮した線量(Sv)によって評価される。人体は自然放射線を常に浴びており、適切な理解と管理が重要である。
練習問題
問題1:キュリー(Ci)とベクレル(Bq)の換算
1キュリー(Ci)は何ベクレル(Bq)に相当するか?
解答: 1Ci = 3.7×10¹⁰ Bq
問題2:人体が影響を受ける放射線量
1シーベルト(Sv)は何レム(rem)に相当するか?
解答: 1 Sv = 100 rem
問題3:放射線の種類
次の放射線の中で、透過力が最も高いものはどれか?
A. アルファ線(α)
B. ベータ線(β)
C. ガンマ線(γ)
解答: C. ガンマ線(γ)





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