純水中におけるヒドロニウムイオン(H₃O⁺)の濃度である 1.00×10−7 mol/L は、酸性や塩基性を判定する基準であるpHを計算する上で重要な値である。この記事では、純水中のイオン平衡、pHの中性値、化学反応の背景を詳しく解説する。
純水におけるイオンの生成と平衡
水の自己解離反応とは?
水分子(H₂O)はごくわずかな確率で自己解離し、ヒドロニウムイオン(H₃O⁺)と水酸化物イオン(OH⁻)を生成する。この反応は以下の化学式で表される。
自己解離反応は平衡状態にあり、生成されるH₃O⁺とOH⁻の濃度は同じである。この平衡は温度によって変化するが、25℃(室温)では以下が成立する。
平衡定数(Kw)の役割
この平衡を記述するために水のイオン積(KwK_wKw)が用いられる。
この値が一定であるため、H₃O⁺とOH⁻の濃度は互いに関連している。
pHと中性の定義
pHの計算式
pHは水溶液のH₃O⁺濃度を対数的に表した値であり、以下の式で計算される。
純水の場合、[H3O+]=1.00×10−7 mol/Lであるため、pHは以下のように計算される。
これが「中性」の基準である。
ヒドロニウムイオン濃度の変化とpHの影響
酸性・塩基性の判定
水溶液中のH₃O⁺濃度が 1.00×10−7 mol/L を超える場合、pHは7未満となり酸性と判定される。一方、H₃O⁺濃度がそれより低い場合はpHが7を超え、塩基性となる。
温度の影響
水の自己解離は温度依存性があり、高温ではKwが増加する。このため、25℃以外では中性のpHが7とは限らない点に注意が必要である。
化学反応の視覚的理解
画像のように、水分子は部分的な電荷を持つ極性分子であり、他の水分子との間で水素結合を形成する。この特性が、自己解離反応を可能にしている。また、生成されるH₃O⁺は水素イオン(H⁺)を結合させた構造として表される。図はこのプロセスを分子レベルで視覚的に示している。
練習問題と解説
問題1: 純水のpHを計算せよ
25℃でのH₃O⁺濃度を 1.00×10−7 mol/L として、pHを求めよ。
解答:
問題2: H₃O⁺濃度が 1.00×10−6 mol/L の水溶液のpHを求めよ。
解答:
酸性である。
問題3: OH⁻濃度が 1.00×10−8 mol/L の水溶液のH₃O⁺濃度とpHを求めよ。
解答:
水のイオン積を用いてH₃O⁺濃度を求める。
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