![CFC類とオゾンの関係](https://i0.wp.com/entropy.jp/wp-content/uploads/2024/12/エントロピー-726.jpg?fit=640%2C400&ssl=1)
CFC類は、かつて有用な化合物として広く利用されていましたが、オゾン層破壊という深刻な問題を引き起こすことが明らかになりました。
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CFCについて
1. CFC類とは?
クロロフルオロカーボン類(CFC類)は、塩素、フッ素、炭素のみで構成される化合物群です。 特徴として、以下の点が挙げられます。
- 反応性が低い: 化学的に安定しており、他の物質と反応しにくい。
- 無毒: 人体への毒性が低い。
- 気体: 常温で気体である。
これらの特性から、CFC類はかつて冷蔵庫の冷媒やエアロゾル噴霧剤など、様々な用途で利用されていました。
2. CFC類の発見と利用
CFC類は1930年代に冷蔵庫の冷媒として導入され、その有用性から広く利用されるようになりました。 特に、フロン-11(トリクロロフルオロメタン)とフロン-12(ジクロロジフルオロメタン)は代表的なCFC類として知られています。
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3. オゾン層破壊への影響
CFC類は、その安定性から大気中で分解されにくく、成層圏まで到達します。 成層圏では、太陽光に含まれる紫外線によって分解され、塩素ラジカルを放出します。 この塩素ラジカルがオゾン分子を破壊する触媒として働き、オゾン層破壊を引き起こすことが明らかになりました。
4. CFC類の規制
オゾン層破壊の深刻化を受けて、1985年にウィーン条約、1987年にモントリオール議定書が採択され、CFC類の生産・消費が規制されるようになりました。 現在では、代替物質への転換が進められています。
5. ハロン類
CFC類と類似した化合物として、ハロン類があります。 ハロン類は、CFC類に加えて臭素を含む化合物で、消火剤として利用されています。 しかし、ハロン類もオゾン層破壊効果があるため、規制の対象となっています。
ハロンについて
1. ハロン類とその用途
ハロン類は、CFC類と同様にオゾン層破壊効果を持つ化合物ですが、主に消火剤として利用されています。 特に、水による消火が適さない場所での使用に限定されています。
具体的な使用例:
- 図書館の書庫(特に貴重書保管庫)
- 油類火災(水がかかると炎が広がる恐れがある)
- 薬品貯蔵庫(水と反応する試薬がある)
- 航空機内(消火ホースを伸ばすことが困難)
2. CFC類の功罪
CFC類は、その特性から空調装置に革命をもたらし、私たちの生活に大きな影響を与えました。
CFC類のメリット:
- 無毒性
- 不燃性
- 安価で入手容易
- 空調装置への利用に最適
CFC類のおかげで、1960年代から1970年代にかけて、高温多湿な地域にある世界の都市で急速な発展が可能になりました。 CFC類を基盤とした技術は、地域経済やビジネスの可能性を変化させ、世界中で人口移動を引き起こしました。
3. CFC類の皮肉な特性
CFC類が様々な用途で理想的である理由は、その化学的不活性という特性にあります。 しかし、この特性が私たちの空気を汚染する原因となってしまいました。
CFC類のC-Cl結合とC-F結合は非常に強固で、自然界での分解はほぼ不可能です。 例えば、大気中のCCl₂F₂分子が分解するまでには120年もの時間がかかります。 一方、CFC分子が気流に乗って成層圏に到達するまでの時間は約5年とされています。 そして、まさにその成層圏で、いくつかのCFC分子が発見されています。
4. ローランド博士とモリナ博士の研究
ローランド博士とモリナ博士は、知的好奇心から成層圏に存在するCFC類の運命に関する研究を1973年に開始しました。 彼らは、高度が増すにつれて酸素とオゾンの濃度が下がり、紫外線の強度が増大することに着目しました。 そして、エネルギーの高いUV-C放射(<220nm)の光子がC-Cl結合を切断すると考えました。
ジクロロジフルオロメタンの分解反応:
Cl₂F₂C + 紫外線光子 → ClF₂C + Cl•
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5. 塩素原子の反応性
分離した塩素原子は7個の外殻電子を持ち、そのうち1個は不対電子です。 この不対電子を持つ塩素原子は、別の原子と結合して安定な八隅子を形成しようとする強い傾向があります。 ローランド博士とモリナ博士らは、この反応性から一連の反応が起こると仮説を立てました。 現在では、CFC類が成層圏オゾンを破壊する過程にはいくつかの経路があることが分かっていますが、ここでは南極圏と北極圏で起こる代表的な経路を示します。
オゾン破壊反応の例:
Cl• + O₃ → ClO• + O₂
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