地球のエネルギー収支「輻射・放射・温室効果」

地球温暖化は、私たち人類が取り組むべき重要な課題です。太陽放射と地球の放射のバランス、そして温室効果の仕組みを理解し、地球の未来のために、私たち一人ひとりができることを考え、行動することが求められています。


地球を暖める仕組みと冷ます仕組み

地球の気候変動を理解するためには、地球がどのように暖められ、そして冷まされるのかを把握することが重要です。地球を暖める主なエネルギー源は太陽です。しかし、太陽光が地球に届くだけでは、地球の気候を完全に説明することはできません。

太陽から地球までの距離と、太陽から放射されるエネルギー量に基づいて計算される地球の平均温度は、なんと-18℃。この温度では、海水は一年中凍りついたままになってしまいます。しかし実際には、地球の平均温度は約15℃と、はるかに暖かいのです。

金星との比較:大気の役割

太陽からの距離だけでは説明がつかない現象は、金星でも見られます。金星は夜空で月​​の次に明るく、多くの人々が最も美しい天体だと考えていますが、平均温度は約450℃にも達します。

しかし、太陽からの距離だけから計算される金星の平均温度は、水の沸点である100℃なのです。地球と金星に共通する、この温度の不一致を説明するものは何でしょうか?

その答えは「大気」です。地球と金星は、どちらも大気を持っています。地球の大気がどのような役割を果たしているのかを理解するために、太陽放射が地球に到達したときに何が起こるのかを詳しく見ていきましょう。

地球のエネルギー収支:その内訳

地球のエネルギーバランス(収支)に寄与する過程。

地球が受け取るエネルギーの大部分は太陽からのもので、主に紫外線、可視光線、そして赤外線としてやってきます。

入射する放射の一部(25%)は、大気中に浮遊する塵やエアロゾル粒子によって反射され、宇宙に戻ります。また、入射する放射の別の部分(6%)は、地球の表面、特に白い雪に覆われた地面や凍結した海面から反射されます。太陽から来る放射の31%がこのようにして反射されるのです。

残りの69%の入射太陽放射は、大気によって吸収されるか(23%)、あるいは地面や海面に吸収されます(46%)。反射される割合と吸収される割合を合計すると、31%+69%=100%となり、辻褄が合います。

太陽放射と地球の放射:エネルギーの出入り

地球は太陽からエネルギーを受け取り、その一部を宇宙空間に放出しています。このエネルギーの出入りが地球の温度を保つ上で重要な役割を果たしています。

  • 太陽放射:太陽から地球に届くエネルギー。波長が短く、可視光線や紫外線などを含む。
  • 地球放射:地球から宇宙空間に放出されるエネルギー。波長が長く、赤外線などを含む。

地球は、太陽から受け取ったエネルギーを全て宇宙空間に放出します。しかし、その際に放射するエネルギーは、波長の長い赤外線となります。

日常生活で体験する温室効果

温室効果は、実は私たちの身近なところでも体験することができます。例えば、晴れた日の屋外駐車場に停めた自動車の車内は、窓を閉め切っていると高温になります。これは、太陽光が車内に入り込み、車内の温度を上げる一方で、車内から放射される赤外線がガラスを透過しにくいため、熱が閉じ込められるためです。