
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はじめに
次の図は一酸化窒素NOの分子軌道のエネルギー準位を模式的に表したものである。
ただし、1s軌道からなる分子軌道は省略されている。これに関して次の問いに答えよ。
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問題1
図において、同じ2s軌道であってもOの方がNよりもエネルギー準位が低い。
電気陰性度の観点からこの理由を説明せよ。
問題2
図を用い、スピンを考慮してNO分子の電子配置を示せ。
また、電子配置に基づいてNO分子の磁性について説明せよ。
問題3
NO分子の結合距離が115 pmであるのに対し、NO+イオンでは106 pmである。
図に基づいてこの事実を説明せよ。
解説
1
O原子はN原子より電気陰性度が大きい。
つまり、NO分子の結合において電子はO原子の引き寄せられており、これによって系が安定化する。
このことが反映されてO原子の2s軌道のエネルギー準位が低くなる。
2
電子配置は下図のようになる
不対電子が存在するため、NO分子は常磁性を示す。
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3
結合性軌道に存在する電子の数をnb、反結合性軌道に存在する電子の数をnaとして、結合次数を下の式で定義すると。

上図の電子配置から明らかなように、NOの結合次数は2.5、NO+の結合次数は3である。
つまり、NO+はNOよりN-O間の化学結合力が強い。
このことが反映されて、NO+の結合距離は短くなる。
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