原子ってどれくらい小さい?1cmに並べると何個?
なんと1億個の水素原子でたった1cm!
原子は、私たちの体から空気、机の上のペンまで、あらゆる「物」を形づくっている最小の単位である。だが、この「最小」とはどれほど小さいのだろうか?
水素原子を1列に並べて1cmになるには、ちょうど1億個(100,000,000個)必要である。つまり、水素原子1個の大きさは約0.00000001cm(=10⁻⁸cm)であり、これは人間の目では絶対に見えないスケールである。
豆知識:髪の毛の太さはどれくらい?
ちなみに、人の髪の毛の太さは約0.05mm(=0.005cm)である。水素原子を使って髪の毛の断面の幅を埋めようとすれば、およそ50万個が必要になる計算だ。想像を超えた微小さである。
水素原子6千垓(がい)個でやっと1g!? 原子の重さの話
1gってこんなに重かったのか!?
「1g」と聞くと、シャープペンの芯1本分くらいの軽さを思い浮かべるだろう。しかし、水素原子を6,000,000,000,000,000,000,000,000個(=6千垓個)も集めないと1gにならないと言われると、その軽さには驚かざるを得ない。
水素原子6千垓個の山と、1gのおもりがやっと釣り合っている。これほどまでに水素原子1個の重さは軽く、約1.67×10⁻²⁴gとされている。
豆知識:垓(がい)ってどれくらい?
日本では「万」「億」「兆」「京」の次にくるのが「垓(がい)」である。
つまり、1垓 = 10²⁰(ゼロが20個)という単位。
身近に使うことはないが、原子や宇宙のスケールを語るときにこそ登場する、まさに「ケタ違い」な単位である。
原子の不思議①:これ以上分けられない“究極の粒”
原子を半分に割ることはできない(化学的には)
原子という言葉は、ギリシャ語で「アトモス(切れない)」に由来する。その名の通り、原子は化学的な方法ではこれ以上分けることができない。
図に示されているように、銅の原子を無理に分けようとすると、もはやそれは「銅」ではなくなってしまう。
つまり、原子は物質の“これ以上分けられない最小単位”である。

豆知識:核分裂ってどうなの?
「原子力発電」は、原子を分けてエネルギーを取り出す「核分裂」を使っている。ただしこれは化学ではなく物理の世界の話。通常の化学反応では原子は壊れないことが重要である。
原子の不思議②:種類によって大きさも重さも違う
銅原子1個=水素原子64個分の重さ

銅原子1個が水素原子64個分、鉄原子1個は水素原子56個分の質量を持つと示されている。つまり、原子は種類によってサイズや重さが大きく異なる。

これは、原子核の中にある陽子と中性子の数の違いによって決まっている。
例えば:
- 水素原子:陽子1個(中性子なし)
- 鉄原子:陽子26個+中性子30個(合計56個)
- 銅原子:陽子29個+中性子35個(合計64個)
このようにして、元素の違いは原子核の構成で決まるのである。
豆知識:周期表の並びは重さ順じゃない?
周期表では、原子番号(陽子の数)で並べられている。重さ順ではないが、大体は重くなる順に並ぶので、見た目にも分かりやすい工夫がされている。
原子の不思議③:化学変化で原子は変身しない!
鉄を銅に変えることはできない
鉄の原子をどんなに化学変化させても銅にはならない。これは、化学反応では原子そのものは変わらず、くっついたり離れたりするだけだからである。
酸化・還元・中和などの化学変化でできるのは、「原子同士の組み合わせの変化」にすぎない。
新しい原子を作ったり、消したりすることは絶対にできないのである。
豆知識:金を作る夢は叶わない?
昔の錬金術では「鉛を金に変える」ことが夢だった。しかし、化学ではそれは不可能。原子番号の違う元素を作るには、核反応しかない。つまり、現代の科学でも「化学」で金は作れない。
まとめ:見えないけれど確かにある、原子のスゴさ
原子は、目に見えないほど小さいが、私たちの生活や自然のすべてを作り出している最も基本的な単位である。図を通してわかることは以下の通りである:
- 水素原子1億個で1cm、6千垓個で1gになるほど小さい
- 原子はこれ以上分けられない「究極の粒」
- 種類によって重さや大きさが違う
- 化学反応では原子の種類は変わらない
原子の世界を知ることで、化学や物理の見え方がガラリと変わる。今は見えないかもしれないが、机の上のノートも、空気も、君の指先も、すべてはこの小さな「原子」たちが作っているのである。


