まとめ
異核二原子分子は極性をもち、結合性軌道の電子は電気陰性度の大きい方の原子の近くに、反結合性軌道の電子は電気陰性度の小さい方の原子の近くにいる確率が高い。
電気陰性度の大きい原子
結合性分子軌道に大きく影響するのは、普通電気陰性度の大きい方の原子である。
よって、結合を作っている電子は電気陰性度の大きい原子の近くにいる確率が高い。
これは、エネルギー的に有利だからである。
電子対が二つの原子間で不平等に共有されているような極性のある共有結合が極端になってイオン結合になる。
イオン結合は、電子対が一方の原子によって完全に支配されてしまう。
電気陰性度の小さい原子
電気陰性度の小さい方の原子は、普通反結合性軌道に大きく影響する。
つまり、反結合性軌道の電子は、電気陰性度の小さい方の原子に近いエネルギー的に不利な場所に見出される確率が高いということである。
つまり
異核二原子分子が等核二原子分子の場合と違う点は、二つの原子上の原子軌道のエネルギーが違うことである。
波動関数エネルギーが違うと相互作用が弱くなる。
エネルギー差に応じて相互作用が異なることは、原子軌道の重なり合いの結果生じるエネルギー低下が、異核二原子分子では等核二原子分子ほど著しくない。
しかし、A-B結合がA-A結合より弱いというわけではない。
軌道の大きさ、どのくらい近寄れるかなど、他の要因が混ざり合ってこの結果になる。
詳細に
エネルギーの異なる二つの原子軌道が相互作用した時の分子軌道エネルギー準位図を以下に示す。
低い方の分子軌道は主として低エネルギー側の原子軌道からなり、高い方の分子軌道は主として高エネルギー側の原子軌道からなる。
二つの分子軌道のエネルギー準位が元の原子軌道の準位からズレる程度は、原子軌道のエネルギーが等しい場合に比べて少ない。
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